わりと近くに住んでいて仲良くしている夫婦がいます。
整体治療師、太極拳講師である夫、Eさんと、鍼灸師の妻Mさん。
対してうちは、大工の夫とインド舞踊家、ヨガ講師の妻。
お互い、お金のやり取りではなく付き合って行こう、ということで、ぼくはEさんから太極拳を習い、代わりに大工仕事。薪ストーブの設置等の仕事をしました。うちの奥さんはMさんにヨガを教えに行き、代わりに鍼をうってもらったり。
それでも何だか与えるより受け取る方が多い気がしてちょっと気が引けていました。
ぼくはいろいろ馬鹿なことやって慢性的にむち打ち症になっています。一時頭痛がひどくて病院でCT撮ってもらったこともありました。脳には異常なし、ということでちょっと安心しました。最近またけっこうひどくて、雨の日など特に頸がズキズキ痛みます。
Mさんが鍼うってあげる、って言ってるよ。と妻から聞いてはいたけど、ぼくは人に甘えたりお願いしたりするのがとても苦手な方でなかなか鍼をうってください、と言い出せないでいました。
それでもいよいよ頸が痛み、腰まで痛くなってきて、頭痛、鬱、、、
ぼくは観念して、Mさんに電話しました。
Mさんは丁寧に全身鍼をうってくれました。終わったあとぼくはぼーっとしてたけど、いろいろ注意やらアドバイスを受けたりしました。始めのうちは短い周期で鍼をうった方がいい、ぼくの方に時間的余裕があり、希望があるのならいつでも電話ください、とMさんは言ってくれました。
「で、お金はいくら払ったらいいだろう?」
と僕がおそるおそる切り出すと、
「ヨガも教わってるしいろいろお世話になってるからお金は要らないですよ」
という答え。
ぼくとしてはお世話になっている方が圧倒的に多い気がしているのでいくらか友達価格で、と思っていたんだけど。
「しんさんとことは家族付き合いということで、お金は要らないです」
ギブ&テイク的にものを考えていたぼくにとって、ちょっと目からウロコでした。
そうか、お金の代わりにモノや技術を交換する、というだけでは、お金が動かない、というだけのことで、本質的にはあまり変わらないんだ。
ぼくは「お金の要らない世界」の社会システムを作り出そうとしていたんだ、と気が付きました。でもそうじゃない。その世界は社会システムの外側にあるんですね。だからアナーキズムだったんですね。
「家族になる」
これは一つのキーワードかもしれない。
知らない人同士がいきなり家族になる、というのはちょっと極論とも思えるけど、最終的にお金の要らない世界ってのは、そっちの方向にあるのだろうという気がしました。
「世界は一家 人類皆兄弟」
昔、競艇のCMでよく流れてましたね。
夢見てるって言うんだろ
でもオレたち一人ボッチじゃないんだぜ
君もいつかオレたちと一緒に歩き始めるだろう
そしてそのとき世界は一つになるのさ
imagineより。和訳:負けズ犬