今年これで5回目。今日は犬の散歩でいつもと違う道を通った。ふーふぃ(犬)が道端の臭いを嗅いでしばらく立ち止まった時、バチっ、と頭を刺された。スズメバチだ。見れば道端の木の下のちょっとえぐれたところに巣があった。
頭を押さえてすぐに家に帰る。横になってとりあえず30分様子を見る。ズキズキと痛む。多少息苦しいのは痛みのせいだろう。3日程前に刺された手の腫れがようやく引いてきたばかりなのに。
30分待ってもアレルギーやショックの様な症状が現れなかったのでまた散歩に出た。歩くと少しは痛みも紛れた。
僕はハチには刺されない、という何とはなしの自信があった。家に紛れ込んだハチを指にとまらせて外に逃がしたりもした。害意を持たなければハチも刺さない、と思っていた。
ただ今年5回刺されたうちの4回は気付かずに蜂の巣に近づきすぎたせいだった。残り一回は家の中に紛れ込んで弱っていたスズメバチを指に乗っけたら刺された。今日の場合など、刺されなければならないほど巣に接近していたわけではないんだけど、たまたま帰宅途中のハチがついでに刺して行った、そんな感じだった。
役場に連絡すればすぐに職員が来て巣を駆除してくれるらしい。だけど僕はそういうことが好きではない。ハチとか、マムシとかクマとか、自然の中には一つ間違えば人間の命を取りかねない生き物たちが居る。僕にはそれが大切なことに思える。それは自然に対する畏怖の念にも繋がる。クマを見れば撃ち殺し、マムシを見れば叩き殺し、ハチを見れば殺虫剤をかけて全滅させる。人間はお山の大将になるべきではない。ニホンオオカミは絶滅させられてしまった。軽井沢で猿害がひどくて猿を全滅させよう、という話が議会にのぼったそうだがさすがに否決されたらしい。ハチだったら議題にも上らずに絶滅させられるだろう。蚊、ハエ、ゴキブリ、白アリなんかもできれば絶滅させたいのだろう。それは人間の奢りだと思う。ただ人間の気に食わない奴ら、人間より強い奴らは殺せ?
ハチもマムシもクマもできれば人間なんかに出会いたくは無いだろう。彼らとのトラブルのはほとんどが出会いがしらの事故だ。人間側の不注意によることが多い。
僕は虫や小動物の好きな子供だった。
具体的にいえば、虫や小動物を手当たり次第に捕まえては水槽や虫かごにとじこめ、死ぬまで眺めている、そんな子供だった。アリ、イモムシ、毛虫、蝉、チョウ、ガ、トンボ、ハンミョウ、カブトムシ、クワガタ虫、ムカデ、クモ、シデムシ、ダンゴムシ、ハサミムシ、カマキリ、バッタ、カタツムリ、蛙、トカゲ、ヘビ、カメ、イモリ、ヤモリ、ニワトリ、、、
もちろん殺すつもりではなかったし、自分なりに可愛がっているつもりではあったのだけど、子供のことだ。ヘビの誕生日にビフテキを食べさせてあげよう、なんてとんでもないことを考えるのだ。結果的にみんな死んでしまった。そうやって数えきれない命を殺してきた。
だからハチに刺されたくらいで文句は言えない。ハチの集団に全身刺されて殺されたとしても文句は言えないのだ。
腫れが額まで広がってきた。痒くなってきた。ここ数日は不細工な顔で過ごさなければならないだろう。